それ何語[154]カルビー

◆カルビー

香港編2日目。6日で完結するかな。

・カタカナがないからしょうがない。

日本に外国語、特にいわゆる「横文字」が入ってきたらどうなるか。
漢字やひらがなを組み合わせてそれ相当の日本語が生み出されることもあるが、近年は原語の発音（またはこう読むんじゃないかな、とスペルから想定された発音）を元にカタカナが当てられ、外来語という名の日本語が新たに生みだされることのほうが多いのではないのだろうか。

ここ香港に外国語が入ってきたらどうなるだろうか。
カタカナはないので当てられるのは当然漢字である。
機内食として食べたのは「三文魚（サンマンユー：サーモン）」。
廟街で飲んだのは「啤酒（ペーツァウ：ビール）」。

単語をよく見ると、いやよく見なくとも気づくが、発音を表しているのは最初の1、2文字だけで、最後の文字は意味を表している。
言い換えると表音＋表意の組み合わせから成り立っている。

香港2日目、一見小難しいことを考えていた葉ではあったが、その目の先には、旺角(ウォンコッ)周辺に点在する扇情的なオネエサンたちの看板であった。
このテのお店、「夜總會」って言うんでしょうか、一体何のお店なんでしょう。
沢木幸太郎「深夜特急」に何某かの記載があった気がするが思い出せない…。、
やはり漢字で煽り文句が書かれているのだが、意味がわかる様でわからないこのもどかしさといったら。
どの看板にも必ず書いてある「卡拉ＯＫ」ってなにがＯＫなんだろ？
卡は上下？
拉は「拉麺（ラーメン）」の「ラー」だけど、体位の「位」とも取れなくない。
日本じゃ上はＯＫの店はあるみたいですが、香港じゃ上どころか下もＯＫなんでしょうか！？（って何を考えているのやら 笑）
「地球の歩き方」にも記載はなく、聞ける人もおらず、心の中にもやもやが残ったままその場を後にしました。

・セブンイレブンで悟る。下どころか上もＮＧ！？

セブンイレブンはですねぇ、街の至るところで見ましたね。
あとたまにサークルＫ。
なるべく旅行に来たんだから現地のものを食べたいけど、どうしても「はずれ」にあたっちゃうときがある。
そんなときは行き慣れた店の、飲み慣れた「可口可樂（ホハホッロッ：コカコーラ）」なんかでお口直しできると大変ありがたい。

セブンイレブンに入ると、そんな見慣れた商品が並んでる。
後にスーパーに行ったときも感じたが、加工食品は日本製が特に多いみたい。
お菓子のコーナーに行ってみる。
やはりおなじみのポテトチップの袋には、おなじみのポテトのマークと「卡樂Ｂ」の文字、でその下にしっかり"Calbee"って書いてある。
すると、「卡」は「カ」、「樂」は「ル」、「Ｂ」は「ビー」やね。

ひらめいた。
夜總會の「卡拉ＯＫ」。
「卡拉」がＯＫなんじゃなくて、「カラオケ」ができるよ、ってことなんですね。
この場合、卡には「カラオケ」の意味はないだろうから、当然表音として単語を形成していますね。
なるほど、もう一個気がついちゃったけど、廟街のお土産屋の屋台で見た「ＣＤ／ＤＶＤ：卡式帯」の「卡式帯」とはつまり「カラオケ用字幕つき」ってことだね。

しかしここへきて別の疑問が。
夜總會はカラオケができるのはわかったけど、肝心のサービス内容は…て違ぁーーーーう！
卡の字には本来「カラオケ」の意味はないはずなのに、「卡式帯」においては「卡」が表意の役割を担っている、という現象が起こっています。

しかしだ、一見奇妙ではあるが日本語でも同じ現象が見られる。
例えば「米式」といえば間違いなく「アメリカ式」を意味する。
「米」自体に「アメリカ」の意味はない。
それに気がついたのはやはり街の看板の「意粉」を見た時。
それは「意大利」国の「粉モノ」、つまりパスタ屋の看板であった。

共通していえるのが日本語の「亜米利加」、広東語の「意大利」ともに広く知られる当て字、ということである。
漢字自体に意味はないが、公知の当て字によって新たな意味をもたらされたため、表意の役割を担えている、というところであろうか。
（ちなみにGoogleにおける「卡拉ＯＫ」の検索結果は約269万件）

それにしても「卡樂Ｂ」や「卡拉ＯＫ」なんて、外国語を表現するのにアルファベットも使っちゃうなんてユニークというか、苦肉の策というか、大変興味深いところではあります。

★ひとこと
中国語の外来語表記のパターンはこちらに一部記載が。
ソシュール記号学の再考　－中国語の情報技術用語分析－
なるほど、パターンとしては「表意的」「表音的」「表意＋表音的」があるってことですね。
もうちょっと自分で調べてみたいです。

今日はちょっとだらだら書きすぎたかな。

作成開始：09-14-2005 at 11:32 PM
作成終了：09-15-2005 at 02:24 PM